もし、人生が「宝石」だったら・・と考える。
きっと、磨かれた後が「華やか」であり、息をのむ美しさであり、それまでの過程は地味で、輝きを発することもなく、内に秘めている美しさに気づく者など誰もいない。
もしそうだとしたら、それは「生きることって、なんて虚しい」と感じるのだろうか。
深い苦しみを味わった人が作り出した音楽、いくつもの挫折を乗り越えて世に出た人の言葉、日々の辛い事や試練を与えられた時の人々の涙、そして苦悩する表情。
「痛み」を知っている人だけが持っている、なにかだ。
こういう話は「暗い、重い」とされ、話題にしないように、触れないように、みんなから避けたがられる。一度も転ばずに前に進み続けて、上へ上がっていく。人より高い位置にいるのが誇らしい人生で、挫折でもしたら人より劣った人生で、恥ずかしい人生だとしたら、それは、人生が宝石のように大切に積み重ねられて磨かれるものではなく、楽に、早く、楽しく、簡単に成功できる、インスタントラーメンのような生き方なのだろうか。
自信がなくなってしまった自分の状態というのは、しんどいかもしれない。でもちょっとでもいいから耐えて、落ち込んだりすることから無理に逃げたりはしない。誠実に向き合って挑んできたからこそ、深い痛みを伴うのだから。
その瞬間に、何かが今自分の中で起きているのは確かだ。小さな揺れという変化が。もう少し辛抱強くまっすぐ取り組めば、必ず成果はついてくるはず。
それだけ真剣に向き合っている、という証しは、自分にしか見えなくたっていい。周りに見せびらかすものではないのだから。
きっと辛い涙ではあったとしても、悲しい涙ではない。